夜更けと夜明け

大学生の頃、コンビニで深夜アルバイトをしていた。

いつも夜更けと夜明けの決まった時間に、
お店の周りのゴミを拾いに外に出た。

そのとき、お店の外の世界がやけに艶っぽく見えたっけ。

夜更けの時間はどこか街の賑やかさが微かに残っているが、
静けさと暗闇がやけに心地よくて、いつまでもその夜の空の下で、その空気に包まれていたい気がした。

夜明けの時間は、とにかくキレイだった。
とてもすがすがしくて、真新しくて、色鮮やかで、その空の色が変わりきるのを最後まで見ていたい気がした。
たとえ雨や曇りの日でも、そのキレイさは相変わらずで、夜明けはどんな日でも、キレイだった。

でも、仕事中だったので、まさかそのまま外にいるわけもいかず、渋々と店に戻った。
なので、その時間に来店してくるお客さんや外を歩いている人がやけに羨ましく見えた。

で、こう思った。
この仕事を引退したら時々は、夜更けには夜の空を味わい、夜明けには空の色の変化を眺めるような生活をしたい、と。

でもいざコンビニのアルバイトを引退し、夜の時間が自由になったとたん、
そんなことはいつでもできると思って、正確には、寒いし眠いからまた今度、なんて思って、
全然まったくしなかった。
次第に忘れてしまっていた。

そんなことをなぜか近頃思い出した。

不自由なときに感じた、こうしたい、という願望は、
往々にしてその自由が与えられたとき、実行するのを先送りしてしまう。
(そもそもが、その程度の願望だったのだろうか)

でも、そんなんじゃ、何も変わらないし、つまらない。

一歩、踏み出そうかな。

これからは、不自由なときに抱いた願望を、忘れずにしまっておく。
そして、自由になったときに、実行する。

そのときに、まだその願望を叶えたいという気持ちが残っていることを期待したい。

今度、キレイな空の写真を撮って、ブログにアップしよ!

どれがお好み?
Yahoo!_画像検索_「夜」  Yahoo!_画像検索_「夜明け」  Yahoo!_画像検索_「朝焼け」
僕は夜明けですね。

【補足】
自由が制限されいたからこそ、その世界が魅力的に見えていたのだろうか。
そして、その制限がとれてしまい、いつでも手にすることができると分かってしまうと、
人は魅力的であることを忘れてしまう、もしくは魅力的に見えなくなってしまうのだろうか。
ん〜、なんかよく分からん生物だな。
でも、不自由なときにやりたいと思ったことが、本当であるような気がする。